火で遊び、火を楽しむ大人へ

「大人の火遊び」

ファイアーボウル、ティピ、Atago、火ばさみ+火かき棒、キンドリングクラッカー、ふいご、火吹き棒

アウトドアでの焚き火や薪ストーブは、
「大人の火遊び」と言われたりします。
その「火遊び」について、店主が語ります。
火を育てる道具たち
焚き火をするうえで大事なのは、
「火を育てるという」感覚です。


直火ができないところでは焚き火台が必須で、
乾燥した薪の準備も必要ですが、それは後にして…

まずは火を育てる道具です。
小割り薪、中割り薪、大割り薪の各サイズの
薪を作る道具として、キンドリングクラッカーとか
手斧、鉈、ナイフのどれかが欲しいです。

YouTubeを見てると鉈やナイフでバトニングする
動画がいっぱいアップされてますが、
私は、薪販売業の立場で言うと、薪を割るなら
手斧がいちばんだと思っています。

この手斧で小割り薪を作って、焚きつけます。

手斧は、安いのはダメということではないんですが、
鋼(ハガネ)が柔らかいものが多いです。

薪が割りやすい形で、鋼が硬い。柄も手に
馴染むように作り込まれているとかで選んでいくと、
スウェーデンのグレンスフォシュなどが
残ってしまいます。

使い比べれば分かるんですが、大きな違いがあります。

それから、火は放っておけません。
薪を動かさなければいけません。
そのために必要なのが火挟みです。

ホームセンターで売ってるブリキのものでも
使えますが、上手く火を育てるためには、
ときには燃えてる薪を砕いたり、横に寄せたり、
集めたりしなければなりません。

こんなことをいとも簡単にこなせる火挟みが
欲しいです。

ファイヤーバードという火挟みがあって、
これが究極の火挟みだと自分では思っています。

遊んでてヤケドなんかしてられないので、
耐火手袋もあればいいですね。

もう一つ、あったらいいね!というのが、
火吹き棒やフイゴです。
1回沈んだ火を、もう1回、小割り薪から
リスタートさせるのに有効な道具です。

焚き火台の選択基準は、特にありません。
自分の好きな形でいいと思います。

でも、縦に薪を置く焚き火台は、横に置く
台よりは燃費が悪いので、焚き火料理もする
というのであれば、横に薪が配置できる
タイプがいいです。

ま、焚き火なんで、そんなに燃費を
気にする必要もないでしょうが…

あとは、すぐに焼肉なんかができるように
ロストルとかがセットになった焚き火台も、
使いやすいと思います。

チェーンメイルクリーナー、ファイルシャープナー、ダイヤモンドシャープナー

道具の手入れ
道具はメンテが重要です。

使ったあとはそのままにしないできちんと
煤(スス)を取るとか、灰が付いてたら拭いて、
次回、気持ちよく使えるようにするのが
基本です。

先延ばしすると、汚れが落ちにくくなります。
さらに錆びさせないということも大事。
油を塗る、防錆剤を塗る、変形したものは
楽しみながら直したり…。
そうすることで道具に対する愛着が
わくように思います。

手斧の切れ味を持続させるには、絶対、
土の上に直接置かないということが鉄則です。

必ず切り株とか倒木の上に置く。
刃物は地べたに置かない。

濡れたらすぐ拭いて、刃物用の防錆剤などで
こまめに手入れします。
刃の欠けとかがあったら、自分でできる
刃を研ぐ道具で刃を研いでみるとか…

例えばグレンスフォシュには
素人でも研げる道具があります。
これなら簡単に誰でもできると思います。
板ヤスリ状のシャープナーです。
丸いタイプは難しいと思います。

●ファイルシャープナー
●ダイヤモンドシャープナー

※シャープナーの柄部分の木が斧に当たり、研ぐ際の適切な角度が自然に決まります。

ファイヤースターター、ツインコンテナ、ログキャリー

焚き火を楽しむ手順

木の割りくずを準備できればいいんですが
入手が難しい場合は、代用として使えるのが、
公園に行って拾ってきた松ぼっくりを
乾燥させて砕いたもの。

火の着き方がホントに素直なんです。
小割り薪を作って、砕いた松ぼっくりを
その間に少し置いて、着火剤で火を着けるのが
いちばん安定すると思います。

メタルマッチ(マグネシウムファイヤー
スターター)で、火花を飛ばして着火する場合、
火口(ほくち)には、麻ひもをを解したもの
とかの利用者が多いですね。
白樺の樹皮も人気があるようです。

あとはファットウッドといって、松の倒木を
斧で割ると中から腐ってない松脂の芯が
出てくるんですが、これもいいです。

細かく削ったり、フェザリングしたりして
使います。

杉の葉っぱも乾燥してればいいけれど、
そうでないと臭いと煙がひどいので、
他の人の迷惑にならないようにしたいものです。

着火したら、小割りした薪で育てるんですが、
薪のくべ方も重要です。

例え小割り薪でもピッタリくっ付けすぎると
いけない。
火の通り道を作ることが大切で、
木と木の間隔を開けてやります。

そして、小割り薪が熾火や炭状になったら、
熱源ができたので、そこへまた2本以上、
小割り薪を追加します。

熾火がいっぱいあれば別ですが、薪は1本では
燃えることができないので空間を開け、
複数本入れてあげることが大事です。

着火後、針葉樹の薪に火を着けていって、
それが熾火になってから広葉樹を投入というのが、
実は簡単で、実践されてるキャンパーさんも多いです。

ファイアーボウル56

火のコントロール
個人的には、キャンプ場ではあまり大きな
焚き火は必要ないと思ってます。
小さい火の方が表情がよく見えるんです。

小さいギリギリの火とか、大きな火に
ならないようにした方が、サイトの雰囲気が
グッと良くなりますね。

ペトロマックスのファイアーボウル56は
大きいですが、最初は熾火を作んなきゃ
いけないので大きくなるかもしれませんが、
くべる薪でサイズを調整するといいです。

あとは、丸棒薪という割ってない薪ですね。
割った薪とこの丸棒薪の組み合わせでも、
少し落ち着いたような感じに表情が変わる
と思います。

可能なら、小割り薪、中割り薪、大割り薪に
丸棒薪を混ぜてみるのも面白いと思います。

火を操ると言っても、ぶっちゃけ、場数を踏んで、
経験を積んでいただくしかないですね。

料理するときは小割り薪がいいと思います。
大きい薪では火のコントロールが難しい。
燃えてる火だと強すぎて調整が効かない
ということが多々あります。

熾火だけでの調理も簡単でいいです。
熾火の遠赤外線で焼く焼肉はクセになります。

火のコントロールって、ガスコンロの
ツマミのようなわけにはいかないです。

大きな薪を使って、熾火を作りすぎるのも
火の加減を難しくする原因です。

必要最低限のサイズの焚き火を作って
楽しむのがラクだと思います。
必要なら大きくすればいいですし…

火のコントロール以外で、焚き火が上手く
いかない原因は、薪が乾いてないことに
尽きると思います。

例えば、キャンプ直前にホームセンターで
薪を購入されたとか…

近所に薪の専門店がないようでしたら、
無理を承知で言いますが、キャンプに行く
半年前にホームセンターで薪を購入し、
雨のかからないところで自然乾燥させる
というのがいいです。

太い薪に最初から灯油系の着火剤で
火を着けようとしたけど…というのも、
典型的な失敗パターンです。

日本の台所からカマドが姿を消して
しまって、火を育てるという感覚が
失われてしまいましたが、とにかく
小割り、中割り、大割りの乾燥した薪を
準備するというのが基本中の基本です。

Ozpig

薪ストーブと薪のこと
うちでは、家庭用暖房器具の薪ストーブや暖炉の販売、
取り付けが長く、その燃料用の薪の生産を行っています
ので、どうしても薪の話題が中心になりますが…

普通、アウトドアでストーブというと、アルコール、
ガス(OD缶/CB缶)、ガソリン(ホワイトガソリン、灯油)、
固形燃料、薪、炭、ブリケット、木の枝などが燃料の
小型調理器具をストーブといいますが、ここでは
もう少し大きな薪ストーブのことを、お話しします。

焚き火台も薪が燃料なので、考え方はいっしょです。

Petromaxでは、組み立て式ポータブル薪ストーブ
“ロキ2”の場合、基本的に屋外の広い場所で使用して
くださいと、いっています。

また、換気の悪い場所では窒息死など重大な事故に
つながる可能性があるので、使用中に寝込んだりしない
ようにとか、それでもという方は、耐熱性のテントや
ティピーの中なら使えるけれど、一酸化炭素アラームを
設置してほしいと、警告しています。

調理に特化したクッキングファイヤーピットのOzpigは、
屋外での使用のみを目的に設計されていますので、十分
換気のあるオープンスペースでどうぞ、とのことです。

そんなことをふまえた上での、キャンプ用薪ストーブと
焚き火台で使う、薪のポイントです。

良い薪の選び方
最初に良い薪の条件ですが、これはもう、何がなんでも、
薪の乾燥具合です。
良い薪は、十分に乾燥しています。
うまく燃えるかどうかは、薪の乾燥次第です。

信頼できるお店で、十分に乾燥した良い薪を用意する
ことに尽きます。
湿った薪は使わない。素性の分からないものは、
半年程度、乾燥させて使いましょう。

乾燥が十分で、密度が高く、ずっしりと重い薪は
火持ちがまったく違いますから。

ストーブグローブ、コッパーケトル

Loki2、マフィンモールド

薪、アッシュコンテナ

乾燥してない薪の弱点
反対に、よくない薪はというと…

・燃費が悪い。
・水蒸気が出る。
・煤が溜まりやすい。
・煙が臭い。
・煙突からの煙が多い。
・煙突から火の粉が出る。
・煤が雷おこしのように固まる。

誤解を恐れずいえば、室内用の薪ストーブや暖炉に比べ、
アウトドア用の薪ストーブはどれも性能的には、あまり
差がないと感じます。
上手く燃えるかどうかは、もっぱら樹が乾燥してるか
どうかにかかっています。

薪ストーブの使い方の、上手い、下手は、
煙突の煙を見れば分かります。
いい薪は煤が小麦粉くらいの粒子になります。
なので、本体のメンテや煙突掃除も楽です。

広葉樹と針葉樹
キャンプ用としておすすめの樹は、重めの広葉樹です。
熾火の状態が針葉樹に比べ、長時間持続します。
ナラの他にサクラなどが無難です。

あまりおすすめできない樹は、ニセアカシアなど、においの
強い樹、クリみたいに突然激しく爆ぜたりする樹も、
避けた方がよろしいかと…
あとは、ヤナギ、オニグルミなどの軽い樹も、
焚き付け以外には使いません。

焚き付けの話が出たついでに、焚き付けに最適なのは
ご存知の通り針葉樹ですね。
細いのと中くらいの太さのものをあらかじめ用意したり、
現場でバトニングするのも簡単ですし。

フェザースティックも、針葉樹なら作りやすい。

他には、薪を入れすぎないというのも重要かな。
本体はもちろんですが、煙突も案外高温になりますので、
周りのものが溶けたり燃えたりする可能性があります。
ダウンやフリースは、特に注意ですね。

注意とか、警告ばっかりで面白くないと思いますが、
命に関わることです。くれぐれもご用心を…

大人の火遊び


アウトドアでの焚き火や薪ストーブは、「大人の火遊び」と言われたりします。その「火遊び」について、店主が語ります。

道具はメンテが重要です

焚き火を楽しむ手順

火のコントロール

薪ストーブと薪のこと

乾燥してない薪の弱点

広葉樹と針葉樹